一般歯科
むし歯
むし歯について
幅広い年齢層の患者さまに見られるむし歯ですが、決してあなどってはいけない歯の疾患です。痛くならないと治療しない方が多い上に、歯に痛みを感じたら、それはむし歯がかなり進行している証拠。その前の段階で、冷たいものや甘いものがしみたり、堅いものを食べると違和感があったりといった症状は、すでにむし歯が進行していることを示しています。そして、痛みのある歯を放置したままにしておくと、最悪、抜歯という結末にもなりかねません。
大切な自分の歯は、早期発見、早期治療でむし歯から守りましょう。そのためには、まずは定期検診の受診をおすすめします。むし歯が進行し、痛みなど明らかな症状を自覚する前に、定期検診で歯科医や歯科衛生士によって早期発見、早期治療することがむし歯治療の早道です。
むし歯の原因
むし歯は、お口の中の歯垢に存在するミュータンス菌、いわゆる「むし歯菌」が原因。食べ物のカス(糖分)などをエサに増殖し、酸を出して歯を溶かしていきます。さらに、歯並びや噛み合わせ、ブラッシングの方法、唾液の量などもむし歯の原因になるとされています。 初期段階では痛みもなく、かすかに穴が開く程度ですが、進行すると穴は大きくなり、神経に到達し、痛みも感じるようになります。 むし歯菌は、やはり日々のケアで退治することが大切。むし歯菌から歯を守る適切なブラッシングなどのケア方法については、歯科衛生士による指導を行っています。
むし歯を放置すると
むし歯はほんの初期段階を除いて、放置したままでいいことはありません。一度、むし歯の穴が開いた箇所は、それ以上進行させないこと、再発させないことを目標に、しっかり治療することが必要です。
むし歯がどんどん大きくなって進行しているのに、何の治療もせずに放置したままにすると、やがてむし歯の穴は外側から内側までをむしばみ、さらに穴は大きくなり、最後には根管治療(歯の根の部分の治療)や抜歯が必要になります。
当院のむし歯治療について
むし歯には症状に進行段階があり、それぞれに応じた治療を行います。当院ではとりわけ「見る」ということに気を配っており、最初にCTで患者さまのお口の状態を把握し、マイクロスコープや拡大鏡を使いながら小さな箇所を見逃さないようにして、さらに精密治療を進めていきます。
段階C1=エナメル質のむし歯の症状・治療
【症状】歯の表面がザラザラしてわずかに白濁したり、茶色く色づく程度で、穴も開いていません。
【治療】この段階では要経過観察ということで、主に予防治療を行います。ブラッシング指導を行うほか、定期的にフッ素を歯に塗布して強化し、むし歯の進行を抑えることが大切です。
段階C0=初期むし歯の症状・治療
【症状】歯の一番外側の表面のエナメル質がむし歯菌により溶かされて、わずかに穴が開いている状態。歯の中でむし歯が進行していますが、まだ大きな症状も痛みもありません。
【治療】歯を削る処置はむしろデメリットになる可能性もあるので、経過観察とします。ただし、歯の状況によっては、この先の進行を予防するために、最小限を削った上で歯科用プラスチックの白い詰め物で治療します。治療と同時に、適切なブラッシングやフッ素塗布などで歯を守ります。
段階C2=象牙質のむし歯の症状・治療
【症状】エナメル質の内側にあるのが象牙質。そこまでむし歯が進行し、穴が少し大きくなった状態。神経にはまだ距離があるので痛くはありませんが、冷たいものや甘いものがしみるのが症状です。
【治療】痛みの症状はなくても、明らかに進行している場合には、この段階で治療します。当院では、レ—ザー(※)を使用してむし歯を削り、プラスチックの白い詰め物をします。その詰め物にはフッ素を取り込んだものを使用し、その下でむし歯をできにくくします。穴のサイズによっては、保険適用では金属の詰め物になります。(※)レーザー:削る際の振動や音がほぼありません。歯を削る機器に不快感などがある方は、レーザー使用をご用命ください。
段階C3=神経まで達したむし歯の症状・治療
【症状】象牙質を溶かしたむし歯菌は、ついに神経に到達して感染します。それでも神経に炎症が起きなければ痛みなどの症状が発生しないこともありますが、ほとんどの場合、細菌に感染すると神経は炎症を起こし、「冷たいものや熱いものがしみる」「噛むと痛い」「歯ぐきが腫れる」「膿が出る」などの症状が出て、最終的に根管治療を行うか、神経を除去することになります。ただし、神経を取った歯は、その後長持ちしないことが多く、できれば温存したいところです。
【治療】神経を取ると歯に栄養を送っている血管も取ることになり、その歯の寿命が本来の半分以下に低下するとされています。そこで当院では、「Dog’s Best Cement」(※)という素材を用いた治療を行います。神経を取らなくてもいいように、神経のある部分に殺菌効果のあるセメントを埋めて神経を守ります。その効果は半永久的といわれています。
(※)Dog’s Best Cement:症状の強い歯の治療には使えません。アメリカではすでに主流の治療法ですが、日本では自費治療となります。
段階C3=神経まで達したむし歯の症状・治療
【症状】象牙質を溶かしたむし歯菌は、ついに神経に到達して感染します。それでも神経に炎症が起きなければ痛みなどの症状が発生しないこともありますが、ほとんどの場合、細菌に感染すると神経は炎症を起こし、「冷たいものや熱いものがしみる」「噛むと痛い」「歯ぐきが腫れる」「膿が出る」などの症状が出て、最終的に根管治療を行うか、神経を除去することになります。ただし、神経を取った歯は、その後長持ちしないことが多く、できれば温存したいところです。
段階C4=歯根まで浸食したむし歯の症状・治療
【症状】歯の上部はほとんど溶けてしまい、細菌が歯の根まで浸食し、骨の中にまで膿がたまるといった状態です。ただ、神経が死んでしまうと痛みなどの症状はほとんど感じません。
【治療】根の中の細菌は削るなどの処置ができないので、根管治療、または抜歯となります。根の中の細菌を消毒する根管治療を施す場合、根の無菌化のために消毒薬を何回か交換しなくてはならないので、歯1本だけでも10回弱といった回数と時間がかかります。その後は、歯の状態に合った素材で、患部にかぶせ物をする治療もあります。また、抜歯をした後は、お口の健康を損なわないよう、入れ歯やブリッジ、インプラントで歯を補いましょう。
治療後のメンテナンス
従来のむし歯治療では削って詰め物をするのが一般的でしたが、現在ではできるだけ削らずに治療することを基本としています。 神経についても、なるべく温存できるような治療を行います。さらに、むし歯の発生後の治療よりも、症状が出る前の予防が大事だということを患者さまにも理解していただいています。新たなむし歯の発生や、一度治療して弱くなった歯の再発を防ぐためにも、患者さま自身による日頃のケアが大切で、当院での定期的な検診を行うなど、予防としてのメンテナンスに力を入れていくことを心がけています。
治療後のメンテナンスとしての定期検診のインターバルは、それぞれの患者さまの状況により異なりますが、おおむね3~4カ月に1回、歯科衛生士によるクリーニングを受けていただきます。衛生士がプロの目で見て、日頃のケアの状態などをチェック。磨き方の指導なども徹底して行います。検診の結果、お口の状態によっては、主治医の治療へと進むこともあります。また、何か疑問点、気になることがあれば、お気軽にスタッフにご相談ください。
よくある質問
- Q むし歯の治療方法は?
-
Aむし歯部分を除去し、詰め物やかぶせ物で歯を修復いたします。重度のむし歯の場合には、根管治療や抜歯が必要になることもございます。
- Q むし歯治療は痛いですか?
-
A表面麻酔や電動注射器を用いた麻酔使用することにより、ほぼ痛みなく治療を行えます。感度が高い場合には、痛みを抑える麻酔をより強く使用することが可能です。
- Q 治療後、違和感がなくなるまでの期間は?
-
A個人差がありますが、通常は治療後数日から1週間程度で違和感や痛みがなくなります。
- Q 一度治療したむし歯が再発することはありますか?
-
Aブラッシングやフロスの使用、食生活の改善など適切なケアを続けることにより、再発のリスクを軽減することができます。
- Q むし歯治療が必要となる症状は?
-
A歯に穴が開いている、痛みを感じる、冷たい物や甘い物に過敏に反応する場合などは、むし歯治療が必要となる症状でございます。
歯周病
歯周病について
以下のような症状、悩みはありませんか?
- ブラッシングのとき、歯ぐきから血が出る
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 歯に触るとグラつくような感じがする
- 口臭がすると、家族に指摘された
- 朝、起きたときに口の中がネバついている
こんなことを感じるなら、あなたのお口は歯周病になっているかもしれません。
歯周病は、いまや国民病といわれるほど、多くの成人がかかっているお口の病気です。しかし、むし歯のような明らかな症状が少なく、歯科医院で見つかったとき、あるいは自分でいよいよおかしいなと感じたときには、もう手遅れ=抜歯といったケースもある怖い疾患です。しかも、歯周病がやっかいなのは、単にお口の中の問題だけではなく、全身疾患ともその関係が明らかになっていることです。歯周病についても、やはり早期発見、早期治療が大切です。定期検診などの際に、ぜひ担当医やスタッフにご相談ください。
歯周病の原因
歯周病の原因は、お口の中で繁殖する歯周病菌など細菌のかたまり、プラーク(歯垢)です。これは粘着性が強いため歯にしっかりと付着しているものの、正しいブラッシングを行えばケアが可能です。ただし、それを怠るとプラークは長い間、歯に付着したまま石灰化し、歯石になります。歯石はまさに堅い物質となり、自分では除去できません。歯科医院でクリーニングしてもらわない限り、歯肉(歯ぐき)の炎症=歯周病へと進行していきます。
歯周病は、初期段階では痛みなど明らかな症状が少ないので、①で示したような症状を自覚したならば、一度、当院へご相談ください。また、喫煙者の方は歯周病が進行している場合が多く、要注意です。
歯周病を放置すると
歯周病は初期段階では自覚症状が少ないため、患者さまご自身で率先して治療にみえることの少ない疾患です。 そのため、多少気になる点があっても、放置するケースが多いのも特徴の一つです。そして、放置したまま静かに症状が重くなり、いざ受診しても、すでに歯がぐらぐらになり、その治療に時間もかかる上に、最悪、抜歯の可能性もあります。しかも、歯周病の場合は、歯を1本抜いて終わりということは少なく、その下の歯を支える骨にまで悪影響が及んでいることや再発も予想され、治療後のお口の健康の維持にはますますの努力が必要となります。
もちろん、当院で定期検診を受けている患者さまなら、症状を自覚する前から何かしらの兆しをスタッフが発見することもできます。歯周病も早期発見、早期発見が鉄則ですので、早めにご相談ください。
歯周病が影響を及ぼす他の疾患
最近の研究によると、歯周病と全身疾患に密接な関係があることがわかっています。
歯周病菌が体の中をかけめぐることで、たとえば、糖尿病・心筋梗塞・脳梗塞・誤嚥性肺炎・アルツハイマー病・低体重児早産・骨粗鬆症・肥満など多岐にわたる疾患を引き起こしていることが証明されているのです。これらの疾患のリスクを減らすためにも、日頃から歯周病対策を講じておくことをおすすめします。
歯周病予防のためには
歯周病は、かかってからの治療よりも、何より予防が大事。普段からの患者さまご自身のケアと歯科医院での定期的なクリーニング。この2つのお手入れを励行することで、歯周病にまだかかっていない方は疾患そのものの予防に、そしてかかっている方も、症状悪化を防ぐことが期待できます。
当院の歯周病治療
歯周病には、以下のような段階があります。症状に応じて、治療を進めていきます。
正常な状態
歯石がついてはいても、歯ぐきに大きな影響を与えるほどではない段階。歯石はブラッシングでは取り除けないので、受診して歯石除去=クリーニングをする必要があります。歯石がついた状態を放置すると、歯肉炎、さらに歯周炎へと進行します。
歯肉炎・歯周炎初期段階
歯石を放置すると、その部分がきれいにブラッシングできずに磨き残しとなり、歯石に巣くう歯周病菌に冒され、歯ぐきに炎症=軽度の歯肉炎が起きます。炎症が軽症なら歯ブラシに血がつく程度であまり深刻に考えない方が多いようですが、手遅れになる前に受診することをおすすめします。そして、炎症の進行を抑えるためには、やはり歯石を除去しなければなりません。しかも、肝心なのは、歯の表面だけではなく、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間)の歯石も除去すること。歯石を取り、きちんとブラッシングすることで、この段階の症状は問題なく、予防もできます。
歯周炎中程度・重度
さらに症状が進むと、むし歯のような痛みはないものの、歯ぐきが腫れぼったくなる、歯が揺れる感じがするなど、健康なお口の状態よりは多くの違和感が生じるようになります。この段階までに、ぜひ受診してください。歯周ポケットに深く歯石が入り込んでいる場合には、麻酔(※)をして歯石除去を行い、改善を目指します。
(※)麻酔:当院では、歯ぐきに塗るタイプの麻酔、細い針で針先だけを刺す痛みの少ない麻酔などの工夫を施し、痛みを減らすことに努めています。
患者さまのお口の状況次第で、歯周病についての治療が変わりますが、定期的な検診=クリーニングに通っていただくのは、ほかの疾患対策と同じです。
当院の予防的歯周病治療
当院では、まず患者さまのお口の中の細菌について検査(無料)を行います。お口の中の歯垢と唾液をぬぐって、顕微鏡で歯周病菌の状態をチェック。歯周病を発症していない患者さまでも、歯周病菌の割合が多ければ、当然発症のリスクが大きいというわけです。
その検査結果を受けて、必要に応じて、レントゲンや院長が目でお口の状態を確かめるなど歯周病について多角的に調べます。そして、状況によっては歯周ポケットの検査なども行い、治療に向けた準備を経て、治療へと進みます。
細菌検査の結果、菌が多かったり、活発だったりした場合、当院では「歯周病の内科的治療」(自費)をおすすめしています。これは、数種類の薬剤を使用することで、細菌を除去していく方法です。来院時の診療の際には音波ブラシでプラークを除去し、抗菌作用のある薬剤で洗浄することに加え、ご自宅でも抗菌作用のある薬液でブラッシングやうがいをします。
細菌検査と歯周病の内科的治療を行うことで、患者さまのお口の中の状況を把握し、できるだけ菌の少ない状態を維持して、歯周病予防とします。
治療後のメンテナンス
歯周病がどの段階であっても、基本は定期的な検診=クリーニングによるメンテナンスが基本です。インターバルは患者さまの症状によりますが、3~4カ月に1回程度が適切でしょう。治療をしても症状が安定しない、磨き残しが多い、歯垢がつきやすいなどの傾向のある方は、1~2カ月に1回で様子をみることもあります。
クリーニングでは拡大鏡を使用することで、歯石のまわりの組織を傷つけずに歯石だけ取り除くことが可能です。また、レーザー治療を行い、炎症が進行しているケースでは歯周ポケット内の菌を殺菌し、炎症を抑える効果が期待できます。
よくある質問
- Q 歯周病とは何ですか?
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A歯周病は、歯周ポケット内に蓄積したプラークや歯石が原因で、歯周組織が炎症を起こし、進行すると歯が支えられなくなる歯科疾患です。
- Q 歯周病の症状は何ですか?
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A歯周病の症状には、歯ぐきの腫れや赤み、出血、口臭、歯の動きや違和感があります。症状が進行すると、歯槽膿漏や歯の抜け落ちの原因となることがあります。
- Q 歯周病の治療方法は何ですか?
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A歯周病の治療は、まず歯石やプラークの除去を行い、歯周ポケットを清潔に保ちます。重度の場合には、歯周手術や抜歯が必要になることもあります。
- Q 歯周病の予防方法は?
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A歯周病予防の基本は、正しいブラッシングとフロスの使用でプラークを除去し、定期的な歯科受診で歯石を取り除くことです。また、喫煙は歯周病のリスクを高めるため、禁煙をおすすめします。
- Q 歯周病は感染しますか?
-
A歯周病は細菌性の疾患であり、唾液を介して感染する可能性があります。ただし、免疫力や口腔ケアなどさまざまな要因が関与するため、感染が必ず発症するわけではありません。
- Q 歯周病は全身疾患と関連があるのですか?
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A歯周病が進行すると全身疾患、特に心臓病や糖尿病、妊娠合併症などのリスクが高まることが研究で示されています。歯周病の早期発見と治療が全身疾患の予防にも役立ちます。